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読み札解説「ら」

ラジウム豊富な 増富温泉
らじうむほうふな ますとみおんせん

増富温泉の岩風呂

増富温泉は金峰山より西に流れる本谷川沿いに湧出する温泉で、1913年には内務省衛生試験所によりラジウムエマナチオン(ラドン)含有量の調査が行われ12,800マッへ(マッヘは放射能の単位)という世界有数の値が測定されたのでした。

そもそもラジウム(Ra)とは1898年にキュリー夫人によって発見された固体元素で、放射能が半分になる半減期は1622年です。

ラドンはラジウムが崩壊するときに出来る気体の元素で半減期は僅か3.8日と激減します。日本温泉協会によると温泉水1kg中にラドンが30×10-10キュリー以上(8.25マッへ単位以上)含まれているものを放射能泉と定義しています。
ラジウム温泉は、このラドンが温泉水に溶けて湧出し皮膚から吸収されたり、飲用や呼吸を通じて体内に取り込まれることで生体機能が活性化され免疫力や自然治癒力が向上するといわれています。

一般的に放射能は有害でしかないという認識がありますが、通常は有害な作用を示すものでも微量であれば免疫力の向上など身体に有益な効果を引き出すことがあるといわれています。これはホルミシス効果といわれており1978年にミズーリ大学教授のトーマス・ラッキー教授が発表したもので、世界的に脚光を浴びました。

さてその増富温泉の特徴は・・・

増富温泉郷

 

源泉の「ぬるさ」にあります。
私は増富で5ヶ所の源泉に入ったことがあるのですが、いずれも30~37度くらいでした。入った瞬間はやや肌寒い感じなのですが、15分ほどじっとしていると身体の芯から温まり全身が軽くなってくるのです。

ところで増富温泉といえば日本百名山の金峰山と瑞牆山の登山口として登山者に親しまれています。

雲間よりさしたる光に導かれわれ登りゆく金峰の峰に

これは平成最後の歌会始の儀において、当時皇太子であり即位を間近にされた天皇陛下が詠まれた歌です。陛下は昭和49年には瑞牆山に、その翌年の昭和50年7月には金峰山に登山をするために増富温泉にご宿泊されています。

金峰山に登られたときは、前日は生憎の雨だったようですが、登頂した日は天気も回復して、ちょうどこのお歌のように山頂に近づくにつれて雲の間から夏の陽が射してきたことでしょう。

また瑞牆山の麓では平成13年に第52回全国植樹祭が開催され、会場の跡地は、みずがき山自然公園として人々に親しまれています。ここには上皇陛下の歌碑 切り立ちし瑞牆山のふもと来て いろはかえでの苗を植ゑけり の歌碑が建立されています。

令和の御代になり新型コロナウイルスの蔓延、そしてウクライナの戦争と不安定なことが続きますが、どこかに光明を見出し早く安らかな世になってもらいたいものです。

瑞牆山