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読み札解説「り」

猟犬気質の 甲斐犬強し
りょうけんかたぎの かいけんつよし

甲斐犬は、柴犬や秋田犬、紀州犬などと並び主要な日本犬6種のうちのひとつとして昭和9年に天然記念物に指定されました。

特徴は黒い毛に茶褐色や赤身の強い褐色が混じっており、体長と体高の比率が100:100で体高は39.5~45.5㎝、耳は長くて大きな三角形で強く前傾していない、また尾は差尾か巻尾で、巻尾の場合は巻きが緩いといった特徴があります。

もともと太古の昔から甲州の山間地を中心に人間と共に狩りをしていたと言われ、強靭な体躯と俊敏な運動能力、そして闘争心を持ち合わせています。

甲斐犬は南アルプスの山村である芦安村や旧西山村が原産地ではないかという説が有力ですが、天然記念物指定申請書には甲府の黒平や山梨市の西保村、西八代郡上九一色村なども示されています。つまり甲府盆地の四囲の山村に甲斐犬がいたことが分かります。甲府の旧甲州街道沿いでは「ブチ毛」と呼ばれていた犬が多く飼われていたそうで、このブチ毛の中から体高や被毛、耳の形などの特徴を定めて固定化したものが甲斐犬となったそうです。

さて甲斐犬の性格としては賢くて忠誠心が強いことが挙げられます。
戦時中、日本軍はドイツからシェパードを輸入して軍用犬として訓練していましたが、甲斐犬はシェパードの半分の時間で習得したため陸軍は大いに喜んだそうです。ところが戦地に送られた甲斐犬は・・・

一夜のうちに柵を破って逃げてしまいました。これは、甲斐犬は主人である訓練士の命令しか聞かないことを理解せずに犬だけを送ったことが原因だといわれています。

このように甲斐犬は一代一主という言葉があるように、主人に忠節を尽くすといわれていますが、これは家庭犬としての上下関係ではなく、やはり共に狩りをする仲間としての意味合いが強く、一猟一狗、つまり猟師一人に甲斐犬一匹、つまりお互いがパートナーとしての絆で結ばれた関係と捉えるのがより甲斐犬らしいといわれています。

そのように猟犬の気質が強い甲斐犬ですが、山梨県ではマスコットキャラクターとしても親しまれています。先ずは武田菱丸(たけだひしまる)くんです。肩書は「富士の国やまなし観光キャラバン隊長」で、山梨の魅力をPRするためにいたる所に出没するそうです。ネット上では熊かネコか?という声もあるようですが・・・・立派な甲斐犬の男の子です。

もうひとつはヴァンフォーレ甲府のクラブマスコットであるヴァンくんとフォーレちゃんです。ともに甲斐犬をモチーフにしています。フォーレちゃんの前髪はブドウの葉をイメージしているそうです。これを読んで「そうか!甲斐犬だったのか!!」と気づいてくれた方が一人でもいると嬉しいです。