facebookページ

お問い合わせ

読み札解説「き」

峡東に 国宝の寺ふたつあり
きょうとうに こくほうのてらふたつあり

峡東とは甲府盆地の東の地域のことを指します。また国宝とは文化財保護法により国が指定した有形文化財(重要文化財)のうち世界文化の見地から価値の高く、たぐいない国民の宝であると指定されたもので、山梨には5件あります。

まず柏尾山大善寺は真言宗智山派の寺院で養老2年(718年)に行基によって刻まれた薬師如来像を安置して開かれたと伝えられています。この薬師如来像は手に葡萄をもっていることでも有名で、この像が鎮座する本堂が国宝に指定されています。弘安9年(1286年)の建立で、天正10年(1582年)韮崎の新府城から大月の岩殿城へ落ち延びようとした武田勝頼はここで一夜を明かしています。

また幕末の戊辰戦争では板垣退助率いる新政府軍と・・・


新撰組の近藤勇・土方歳三率いる旧幕府軍が大善寺山門前で激突しています。

もうひとつの海湧山清白寺は臨済宗妙心寺派の寺院で正慶2年(1333年)に足利尊氏によって創建されたと伝わっています。国宝に指定された仏殿は応永22年(1415年)の建立といわれ、桧皮葺きの屋根の曲線美と凛としたたたずまいに心が洗われます。

 

このように長い歳月の中で、静かにその土地の歴史を見つめてきた品格ある建物が二つもあることは峡東地域の大きな財産だと思います。

清白寺の参道

早春の参道。