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読み札解説「も」

桃 ぶどう 名高い 甲州八珍果
ももぶどう なだかい こうしゅうはっちんか

すべて山梨県産の果実による甲州八珍果全種類盛り

山梨の農産物といえば真っ先に思い浮かぶのが果実です。桃と葡萄は都道府県別の生産高が日本一で、柿、梨、林檎、石榴、栗、胡桃(もしくは銀杏)を加えて江戸時代から「甲州八珍果」として知られていました。

甲州における果実と人の関わりの歴史は古く、縄文時代の遺跡からは桃の種を包んでいる桃核が多数出土しています。また葡萄は奈良時代の僧、行基がこの地にもたらしたとも、鎌倉時代に雨宮勘解由という人物が野生種と違う葡萄を発見して栽培を始めたものが甲州葡萄の始まりともいわれています。江戸時代には今に続く棚による栽培が行われていました。

このように甲府盆地で果物栽培が盛んになった理由は、盆地周辺の扇状地が水捌けがよいため果実の水分が多すぎずに甘みが凝縮されることと、昼と夜の寒暖差が大きいことが挙げられます。この寒暖差が果物の甘味にどのように影響するのかというと・・・

植物は日中の光合成によって糖を作りますが、それと並行して呼吸も行います。光合成を行うのは日中だけですが、呼吸は夜間も行われます。そして夜間に呼吸を行うと日中に作った糖を消費してしまうのです。呼吸は気温が高いほど盛んになり糖をより消費してしまいますが、気温が低いと糖が果実内に蓄積されやすくなり甘みが増すことになります。

『ウェザーニュース』ホームページより

【蒙霧升降】霧で野菜が美味しくなる!? – ウェザーニュース

つまり日中は気温が高く光合成を活発に行い、糖をたくさん蓄える一方で、気温が下がる夜間は呼吸をあまりせずに糖を消費しなくてもよい環境が、果実を栽培するのに適した環境といえます。

そしてこの寒暖差のある環境は盆地特有の地形から生まれます。日中に温められた空気は盆地を囲む山の斜面に沿って上昇した後に、また上から盆地の底に降りてくるため気温が高くなるのです。これを「盆地循環」というのですが、この他にフェーン現象によっても高温になります。

一方、夜になると空気よりか先に地面の温度が下がるため、斜面に近い空気が冷えて重くなり、斜面に沿って下りていくため盆地の底に冷たい空気が溜まることになります。

こうした地形と日本有数の日照時間とが相まって作られた自然環境によって、日本有数の果実の生産地となったのでした。

下の写真は甲州八珍果、全種類盛りです。すべて山梨県産のものを使って、最も遅い桃と早生の柿の収穫期が重なるタイミングを狙いました。

山梨市産 桃、葡萄、柿、林檎、栗
甲州市産 梨
笛吹市産 石榴
甲府市産 胡桃