ふるさとの味 ほうとうと 吉田のうどん
ふるさとのあじ ほうとうと よしだのうどん
甲州の郷土料理で真っ先に名前があがるのが「ほうとう」です。小麦粉を練って厚さ5mmほどに延ばしてから幅2cmほどに切り、この麺を打ち粉がついたまま季節の野菜と共に煮込んで味噌を溶いて出来上がりです。
「美味いもんだよ南瓜のほうとう」と言われますが、「ほうとう」はあくまで日常の食べ物なので、南瓜の他にも人参、馬鈴薯、里芋、牛蒡、大根、椎茸、白菜、長葱などなど四季折々の野菜が用いられ、更に豚肉、油揚げなどを入れる家庭もあります。また前日の残りの「ほうとう」は箸でつまむと切れてしまうのですが、味が染みているためそのまま食べてもよし、熱々ご飯の友として味噌汁代わりに食べても美味いものです。
その「ほうとう」と並ぶ郷土食として最近知名度を上げているのが・・・
富士吉田市の「吉田のうどん」です。
その特徴はコシの強さと、味噌と醤油を合わせたつゆ、そして多くの場合キャベツがトッピングされています。そこに胡麻、山椒、唐辛子などを調合した「すりだね」という薬味をお好みで加えていただきます。。これも店によってサラサラ系やしっとり系、ゴマ系などバラエティに富んでいます。
うどんの原料の麦は、もともと寒さに強い植物ですが富士北麓では麦の栽培も容易でないほど寒いため、うどんは日常の食べ物ではなく正月や結婚式などハレの日に食するものだったそうです。しかし近代になり食糧としての小麦の流通が増えたうえに、機織りが盛んになり女性の労働力が重きを成すようになると手の込んだ料理をする時間がないため、男性が食事の支度をする機会も多くなり、自然とシンプルで武骨なうどんが作られるようになったと言われています。
こうして作られた「うどん」を織物の買い付けに来る業者に提供したり、旨いと評判の家が、昼の時間だけ客間で「うどん」を提供するうちにうどん屋になったりしたそうで、現在、富士吉田市には60軒とも70軒ともいわれるうどん屋があります。
吉田のうどん屋は普通の住宅を改装して店舗としているところが多くあり、余所のお宅にお邪魔しているような気分も味わえます。こうした点でも吉田では、うどんが人々の生活に密着していることが分かります。
ところで最近私が注目しているのは、県立ひばりが丘高校のうどん部の活躍です。
れっきとした高校生の部活動ですが、毎週日曜日に地元のスーパーの一角を借りて店舗を運営しています。自分たちでうどんを打って、トッピングやすりだねも工夫しています。先日はじめてお邪魔しましたが、なかなかのものでした。よろしければ皆さんも是非ご賞味ください。ただし高校生らしくテスト前の日曜日はお休みです。