県民の 努力で撲滅 地方病
けんみんの どりょくでぼくめつ ちほうびょう
甲府盆地での石灰窒素散布作業(昭和26年)
山梨県で地方病というと甲府盆地において日本住血吸虫病という寄生虫によって発症する病気を指します。これは寄生虫が中間宿主であるミヤイリ貝を介して成長し、河川や田んぼの水から皮膚を通じてヒトや家畜の体内に入りこみ、肝臓障害を引き起こし、腹に水がたまり死に至る恐ろしい病気です。
古くは武田家の家臣がこの病気特有の症状で亡くなったという記録があるので、甲府盆地の住民は400年以上前からこの病気の脅威にさらされていたことになります。
明治43年(1910年)の記録では有病地域の住民の11.4%が感染しており、中には住民の55%が感染している村さえあったそうです。
この病気の原因の究明のため自ら死後解剖を申し出た農婦や・・・
医療関係者の尽力により感染経路が特定されたのでした。
その後、県民総出で行ったミヤイリ貝の捕獲と殺処分、また貝が生息しにくいように水路をコンクリート化するなどの対策を積み重ねました。
その結果、平成8年(1996年)に山梨県における地方病の流行が終息したことが宣言されたのでした。
このように山梨県には未知の難病を克服した尊い歴史があります。これからも新たな病気に向き合うことがあると思いますが、そんな時は先人の努力に学ぶことも大切なのではないでしょうか。
写真は地方病の治療と撲滅に尽力した杉浦健造・三郎博士が診療所として使っていた建物です。内部は当時の状態で保存されています。