世界に誇る 富士の山
せかいにほこる ふじのやま
河口湖 大石公園からの富士山
日本最高峰の富士山は、古来より詩歌に詠まれ、絵画や写真など芸術の対象になってきました。また近年では桜の季節に富士吉田市の新倉山浅間公園の忠霊塔と共に写る富士山は日本を代表する風景として広く外国にも知れ渡っています。
ところで、富士山に最初に登った人物は誰なのでしょうか?聖徳太子が甲斐の黒駒に乗って空を飛んで登頂したとか、飛鳥時代の修験者の役小角(えんのおずぬ)が流刑先の伊豆大島から海の上を歩いて渡って登頂したという話が伝わっていますが、いずれも伝説の域を出るものではありません。
実は最初の登頂者が誰であるのかハッキリ分かってはいないのですが、平安時代の貴族、都良香(みやこのよしか 834~879)が著わした『富士山記』には実際に登頂しない限り分からない風景が記されているので、少なくとも9世紀には登られていたことは確実だといえます。
その登頂しなければ分からない風景というのは・・・・
「其頂中央窪下。體如炊甑。甑底有神池。池中有大石。石體驚奇。宛如蹲虎」つまり頂上は窪んでいて、その中に蹲る(うずくまる)虎の形をした岩があるというものです。確かに今でも火口の中には虎岩という岩があり、角度によっては左右の脚をやや広げて前に突きだし今にも獲物に飛びかかりそうな虎に見えます。
このように古くから多くの人に登られてきた富士山ですが、気象観測の場所としても注目され1889年の夏には山頂での観測が始まり、1932年からは通年の観測が行われていました。1964年には台風観測のためのレーダーが設置され、白いレーダードームは富士山頂の風景として登山者に親しまれていました。
気象衛星が発達した現在ではレーダーは廃止され観測所も無人化されましたが、撤去されたレーダードームは現在道の駅富士吉田の隣に建設された富士山レーダードーム館に展示され、山頂の風や寒さを体験できる施設として生まれ変わっています。