地域と歩む サッカーチーム ヴァンフォーレ
ちいきとあゆむ さっかーちーむ ゔぁんふぉーれ
ヴァンフォーレ甲府は日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に属するサッカーチームです。
ヴァンフォーレのヴァン(VENT)はフランス語で風を、フォーレ(FORET)は林を意味します。風林とくれば風林火山。もちろん武田晴信(信玄)の旗印です。
現在はJ2という2部リーグに籍をおいていますが、過去には通算8年にわたり1部リーグであるJ1に籍をおいたこともあります。
そもそもヴァンフォーレは1965年に甲府一高OBによって設立された鶴城クラブから生まれた甲府サッカークラブがルーツとなっています。甲府クラブはアマチュアの日本リーグ2部に所属していましたが大企業がバックについているチームではなく教員・旅館経営者・農業・警察官・会社員といった様々な職業を持つ選手が集まったチームでした。そんなわけですから僧侶の選手が袈裟懸けのまま試合会場に駆けつけて相手チームが仰天するといったエピソードも残っています。
こうした地元に根付いたチームの伝統は1995年にヴァンフォーレ甲府と改名し、1999年にJリーグに参戦しても変わりませんでした。しかしそれゆえ財務基盤が脆弱であり、満足な選手補強も出来ないためチームの弱体化が進んでしまいました。
2000年は26戦連続未勝利という今も破られていない不名誉な記録を作ってしまい、観客動員も低迷。1億円の債務超過に陥り、あわやチーム解散か!という存亡の危機に立たされたのですが・・・
このままチームが消滅してしまえば始まったばかりのJリーグにとって大きなイメージダウンになってしまいます。当時の川渕チェアマンも来甲して各方面に支援のお願いをするとともに、県民も「山梨からJの灯を消すな」と署名やカンパ集めに奔走しました。
その結果もあり、チームは存続することになったのですがチームの強化と財務改善は至上命題でした。大企業がほぼない山梨において広告のスポンサーを探すのはたいへんなことです。
そこで考えたのがおカネではないサポートでした。クリーニング屋さんにはユニフォームの洗濯をしてもらう。レストランには食事の提供、温泉には無料入浴、レンタカー会社にはレンタカーを、床屋には散髪を、というように自社の商品やサービスを提供してもらうことで経費を抑えていきました。また試合の運営を支えるサポーティングスタッフというボランティアの存在も重要です。
観客動員については、アルビレックス新潟と信州のスタジアムで「平成の川中島合戦」を行ったり、群馬のザスパ草津とは石和vs草津の温泉マッチを行うなど、地域性を活かした企画で徐々に観客を増やしていきました。
その後2005年にはJ1・J2入替え戦を制して遂に悲願のJ1昇格を決めることになります。そしてこの年にチームのホームタウンを甲府市と韮崎市から山梨県内の全市町村としました。試合前に地域の伝統芸能を披露したり、ビジターサポーターへの特産品のプレゼントや、市町村のPRブースの出店など地域と地域に根差した運営を行っています。
現在はJ2に所属していますが、2022年の天皇杯ではJ1チームに5連勝しビッグタイトルを獲得し、日本中のサッカーファンを唸らせた雄姿は記憶に新しいところです。
これからも山梨県民の希望の星として、また子供達の夢のチームとしての活躍を期待しています。